第149章 恩を売って見返りを求める?

しばらくのあいだ、その件は結局、解けない謎のままだった。

森川汐里は、他人に借りを作るのが何より嫌いだ。助けられた覚えもなければ、礼を言う相手も見当たらない。考えれば考えるほど、腑に落ちなかった。

一方で――その「仕掛け人」は、彼女からの感謝を今か今かと待っていた。

藤原由真は執務室の中を行ったり来たりし、やがて大きな窓の前に立って、遠くを見下ろした。

表情だけ見れば沈着そのもの。だが頭の中は、焦りで焼けつくようだった。

木下直人からは報告を受けている。

森川汐里は、子どもの入学手続きも無事に済ませた、と。

――それなのに、どうして連絡が来ない。

欲しいのは金でも品物でもない...

ログインして続きを読む