第162章 ただの叔父さん

彼の改まった約束を聞いて、森川悦子はようやくむくれた顔を少しだけ緩めた。

「でも、やっぱりパパとは呼ばないから!」

藤原由真の瞳の奥を、失望が一瞬よぎる。九条千秋を「パパ」と呼ぶ子どもたちの姿が脳裏に浮かんだ。まるで――自分という実の父親より、九条千秋のほうがよほど家族みたいに。

けれど、すぐに思い直す。

九条千秋はこの数年、彼女たちを守り、育ててきた。その「パパ」は、たしかに彼にふさわしい。

一方で自分は、実の父親だというのに何ひとつしてこなかった。

そう考えるほど、藤原由真は胸の奥が熱くなって、恥ずかしさに顔を上げられなくなる。子どもが「パパ」と呼んでくれないことに傷つく資格...

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