第170章 小野雨音から電話があったと伝える

森川汐里は、彼の視線など気にも留めなかった。

彼女の目は終始、二人の子どもだけを追っている。

本当なら食事を終えたらそのまま帰宅するつもりだった。けれど、丸く膨れた小さなお腹を見てしまうと、食べすぎて苦しくならないか心配になる。結局、近くの公園まで連れて散歩するしかなかった。

呆れながらも、どこか甘い。そんな顔で。

汐里はこの街で生まれ育った。四年の海外生活を挟んでも、戻ってくれば足は勝手に道を覚えている。子どもたちの手を引き、大通りから路地へ、路地からまた裏道へ。迷いのない足取りで歩いていく。

子どもと一緒に過ごす、久しぶりの穏やかな時間。

――藤原由真という目障りな存在さえい...

ログインして続きを読む