第51章 彼女も私を落ち着かせてくれる

森川汐里は手を払われても腹を立てず、少し離れた場所から彼を見守っていた。

「……大丈夫?」

藤原由真は唇をきゅっと結び、なぜか自分でも分からないまま、ぽつりと言った。

「悪かった」

言った瞬間、森川汐里だけじゃない。藤原由真自身も、呆けたように固まった。

汐里を見つめる彼の声には、どこか焦りが混じる。

「俺も分かんねえんだ。今日の俺、変で……勝手に身体が動くみたいに、抑えが利かねえ」

けれど森川汐里は、その言葉の裏を敏感に掬い取っていた。

このところ、藤原由真の心は、静かに――けれど確かに変わり始めている。

相変わらず怒りっぽい。けれど、以前みたいに衝動のまま爆発しない。

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