第7章 別の事情がある

九条千秋は険しい顔のまま、森川汐里が今どれほど消耗しているかを見抜いていた。

「助けてくれて……ありがとう……」

森川汐里は眠りから引き戻されたばかりだったが、礼を言っている場合じゃない。形だけ頷くと、ふと窓の外が白み始めているのに気づく。

「いま、何時?」

胸の奥がひゅっと縮み、声が上ずった。

「朝の六時半……どうした?」

その時刻を聞いた瞬間、森川汐里は奥歯を噛みしめ、スマホを掴んで病室を飛び出した。

――まずい。もうすぐだ。

鈴木さんの列車は今朝七時着。絶対に遅れられない。

病院を出るなりタクシーを拾い、息を切らして駅へ滑り込む。ちょうど鈴木さんが降りてきたところで、...

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