第80章 振り払えない責任

彼は佐藤琳の顔色がみるみる曇るのを見て、慌てて取り繕った。今回の提携は軽い案件じゃない。Giyaは海外帰りのエリートだし、突発対応も得意なはずだ。今回は彼女に譲ってやれ――と。

副社長は、まるで子どもをあやすみたいに愛人をなだめる。

野次馬になっていた社員たちは誰ひとり口を挟まず、黙って成り行きを見守っていた。

森川汐里は、佐藤琳の恨みがましい表情をちらりと見て、胸の奥に小さな違和感が刺さった。

この副社長は、汐里が入社した日からずっと敵意むき出しで、彼女を埃の中に叩き落としたいみたいな男だった。それが今さら、わざわざ褒める?

――裏がある。

だめだ。

藤原グループとの案件は、...

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