第1章
天音舞視点
背中に触れる温もりは、心地よいはずだった。それなのに、肌が粟立つような不快感しかもたらさない。
私は身じろぎもせず横たわる。彼の胸の規則正しい鼓動と、所有欲を隠さずに私の腰に回された腕を感じながら。神無月蒼真の息が首筋にかかり、私は悲鳴を上げないように舌を強く噛みしめた。
私は、一族を皆殺しにした男の腕の中にいる。
その思考は、物理的な一撃のように私を打ちのめした。
銀月部族の十三人。私が家族と呼んだ十三人が、雪の中で虐殺された。私が弱すぎて、あまりにクソの役にも立たなかったせいで、誰一人救えなかったのだ。
じっとしていようと努めても、身体が震えだすのを止められない。
どうしようもなかった――怒りは常にそこにあり、表面のすぐ下で煮えたぎり、今にも沸騰しそうだった。
背後で神無月蒼真が身じろぎし、私をさらに引き寄せるように腕の力がわずかに強まった。彼の手が伸びてきて、優しく私の顔を彼の方に向けさせると、夢にまで出てきて私を苛む、あの銀灰色の瞳と視線がぶつかった。
「緊張するな」と、彼は昨夜の変身による疲労で掠れた声で囁いた。
「まだ月は沈んでいない。もう少し休める」
その声に含まれた優しさに、吐き気がした。
私が愛したすべてをズタズタに引き裂いたその手で、どうしてこんなに優しく触れることができるのだろう?
それでも私は黙ったまま、彼の寝顔を観察しながら呼吸を整えることに集中した。
眠っているときでさえ、神無月蒼真は彼そのものである捕食者のように見えた――鋭い角度と危険な美しさを兼ね備えている。
昨夜、満月の夜に、彼は森の脅威から私を守るために姿を変えた。脇腹に銀の刃を受け、私と危険の間に身を置くのを私は見ていた。
私が真実を知らなければ、それは心を打つ光景だったかもしれない。
私の指がゆっくりと、銀の短剣が待つ枕元のテーブルへと這っていく。
今だ。今が好機。
私は短剣を彼の喉に向けた。手は怒りと期待の入り混じった感情で震えている。素早く一突きすれば、すべてが終わる。一族のための正義。私のための復讐――
神無月蒼真の目が、カッと見開かれた。
その銀灰色の瞳が、彼の頸動脈から数インチのところで揺れる短剣を捉える。金属が私の手のひらを焼き、私は喘いだ。腕を駆け上る激痛に、短剣を落とさざるを得なかった。
「クソッ」と私は呻き、火傷した手をかばった。
神無月蒼真は溜め息をついた。その音には怒りよりも諦めの色が濃かった。
「また月毒の霊薬を飲むのを拒んだな、天音舞」
私が答える前に、彼は人間離れした速さで動いた。
落ちた短剣に手を伸ばした次の瞬間、私は彼の下に押さえつけられ、その手は優しく、しかし確かな力で私の喉を掴んでいた。
「私は――」
「嘘をつくな」
彼の空いている方の手が、私の胸にある銀の傷跡をなぞった――深く刻まれた「裏切り者」という言葉。私の失敗を永遠に思い出させる烙印だ。
「制御が甘くなっている。匂いで分かる」
「離せ」
私は彼を振り落とそうと、身を捩った。
しかし神無月蒼真は身を引くどころか、身を屈めて私の唇を奪った。
噛みついてやろうと、抵抗しようとしたが、そのとき苦い液体が口の中に流れ込んでくるのを感じた。月毒の霊薬。彼はそれを口に含んで、待っていたのだ。
「飲め」唇越しに、彼は有無を言わさぬ声で命じた。
液体は喉を焼きながら下っていき、それが全身に回るにつれて、あの馴染みのある感覚の鈍化を感じた。私の中の獣がさらに奥へと退き、鋭い怒りの刃も一緒に持ち去っていく。後には虚ろな無力感だけが残された。
神無月蒼真はついに身を引くと、あの腹立たしいほど優しい瞳で私の顔を吟味した。それから彼は寝台から転がり降り、まるで私が彼の寝込みを襲って殺そうとしたことなどなかったかのように、服に手を伸ばした。
「今日は月影零がお前を月光湖へ連れて行くだろう」
彼はジーンズを履きながら、何気ない口調で言った。
「あそこの水は傷に効く」
私は言葉を失い、彼を見つめた。どうして彼はただ……先に進めるのだろう? 何もなかったかのように振る舞えるのだろう?
「湖なんて行きたくない」
私は吐き捨てると、起き上がってシーツを身体に巻きつけた。
「私に近寄らないで」
神無月蒼真はシャツのボタンを留める手を止め、ようやく私と視線を合わせた。
ほんの一瞬、彼の表情に生々しい痛みがよぎったが、すぐにあの抑制の効いた仮面が元の位置に戻った。
「分かっている」と彼は静かに言った。「だが、行ってもらう」
彼は扉に向かい、取っ手に手をかけて立ち止まった。
「傷は消える、天音舞。すべてだ。約束する」
そして彼は去っていった。口の中に残る月毒の苦い味と、希望のようにも聞こえる言葉の響きだけを私に残して。
私は胸に刻まれた盛り上がった文字に触れ、銀の毒がもたらすいつもの疼きを感じた。「裏切り者」という言葉が指先の下で脈打つようで、私が失ったものを絶えず思い出させる。
すぐに。と私は自分に誓った。すぐに奴らにしたことの代償を払わせる方法を見つけてやる。
しかし、崖の前哨基地の窓から差し込む朝の光の中で座っていると、彼が私を見たときのあの眼差しが記憶から離れなかった――まるで私が、彼が必死に壊さないよう努めている、何かかけがえのない宝物であるかのような。
そのせいで、彼への憎しみがさらに増した。









