第10章

天音舞視点

身を切るような風が、雪の中で目覚めた私の肌を刺す。体中が軋むように痛み、一瞬、どうして自分がここにいるのか思い出せない。

なんてこと。私は間違っていた。何もかも、本当に、すべて間違っていた。

神無月蒼真は、私の本当の婚約者だった。月光湖で変化の仕方を教えてくれた幼馴染。初めての変化の時に、私の手を握ってくれた男の子。血月の儀式で、月の女神が私の運命の番として選んだ男性。

そして私は、何か月もの間、彼を殺そうとし続けてきた。

近づいてくる足音に顔を上げる。月影零が木々の間から姿を現したが、何かがおかしい。彼は狼の姿で、腹を地面に擦り付け、まるで壊れた獣のように...

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