第11章

天音舞視点

崖の前哨基地を飛び出した瞬間、吹雪がまるで無数の銀の針のように肌を突き刺す。背後で聞こえた月影零の叫び声は、唸りを上げる風の中へと掻き消えていった。

狩人だの銀の矢だの、何を言っていたかなんて知ったことか。神無月蒼真が死んだなんてありえない。そんなはずがない。

雪を蹴って進むたび、傷だらけの体に衝撃のような痛みが走る。それでも私は前に進んだ。彼がまだどこかにいると叫ぶ、必死の本能に従って。

お願い、月の女神様。どうか、手遅れになりませんように。

目の前には禁じられた森がそびえ立ち、ねじくれた木々が骸骨の指のように空へと伸びている。

「神無月蒼真!」嵐に向か...

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