第4章

天音舞視点

森がおかしかった。何もかもが。

銀のワイヤーがすべての木の幹に巻きつき、悪意に満ちた月光を浴びてきらめいていた。金属は樹皮も肉もおかまいなしに食い込み、出口のない迷宮を作り出している。私の狼の爪は血で重かった――誰の血?――そして裏切りの匂いが空気に濃く立ち込めていた。

雪は横殴りに降り、聞き覚えのあるような声で風が叫んでいた。寒さはどんな銀の刃よりも深く突き刺さり、手足の感覚を奪い、立っていることさえままならない。

「裏切り者」

その言葉があらゆる方向から響き渡る。見たこともない十数もの口が、それを口にしていた。

「裏切り者…裏切り者…裏切り者」

ワイヤーが、喉に食い込んだ。

「リーダーはあの少女に完全にいかれてる」

靄のかかった意識の中、月影零の声が聞こえてきて、私を悪夢から引き戻した。目は閉じたままだったが、身体の感覚は現実に戻っていた――温かい毛布、柔らかいマットレス、そして馴染みのある松と石の香り。

「マジだって。湖に突き落としたのは、あの女なんだよ」

別の声が言った。もっと若く、神経質そうな声だ。

「俺たちのリーダーを殺しかけたってのに、まるでお姫様みたいにあの女を運び戻してきたんだ」

「声を落とせ」月影零が咎めるように言った。「それに言葉に気をつけろ。あの『銀月の少女』は地獄を見てきたんだ」

「そうかもしんないけど、危険だろ。従兄弟がその場にいたんだ――リーダーが水中に三十秒はいたって。引き上げるまで。普通じゃねえよ」

月影零がため息をつくのが聞こえた。

「この状況に普通なことなんて何もない。奥の部屋にもう一人いるのは知ってるだろ? 星奏香織だ。腹に銀の矢を受けて、もう三日も意識がない」

星奏香織?

「こいつとそっくりなんだよな」若い声が続けた。「同じ髪、同じ体格。だからリーダーはこいつを連れ帰ったのか? もう一人の女への罪悪感から?」

「そうかもしれん。あるいは、本気であいつを――」

声が遠のき、私は再び闇に引きずり込まれた。

「お前は二度とこの前哨基地から出るな」

神無月蒼真の言葉は三日後に告げられた。それは私の内なる狼が喉を鳴らすほどの決定的な響きを持っていた。月影零が影のように彼の背後に立ち、その手は武器に添えられている。

「どこへ行くにも月影零が付き添う」

神無月蒼真はテーブルに月毒の新しい小瓶を置きながら続けた。

「食事、外気浴、なんでもだ。だが一人では行くな」

「ふざけないで。囚人じゃない」

私は吐き捨てた。

「違う!」彼は咆哮した。「お前は、俺が二度と失うわけにはいかない存在なんだ」

私たちの間で月毒が淡く光り、その引力を感じた――それが約束する人工的な静けさ、私の怒りをすべてが遠く、対処可能なものに感じられるまで鈍らせる感覚。

それを欲している自分が、たまらなく嫌だった。

「さっさと飲め、天音舞」

小瓶を十分も見つめ続ける私に、神無月蒼真の忍耐は尽きかけていた。彼がそれに手を伸ばしたとき、その瞳が銀色に揺らめいた。

私は月毒をひったくり、彼の胸に叩きつけた。

「あんたには全然わかってないんでしょ!」

私は窓際に後ずさりながら叫んだ。

「私に飲ませるそのクソみたいな薬を一滴飲むたびに、本当の自分が誰なのか思い出せなくなる一日が増えるのよ!」

神無月蒼真は思考より速く動き、その手が私の顎を砕けんばかりの力で掴んだ。銀色の瞳は今や燃え盛り、人の皮の下で狼がほとんど抑えきれていない。

「一度でいいから、言うことを聞けないのか」彼は唸った。「お前自身の安全のためだ」

私は痛みの中で微笑んだ。

「絶対に、嫌だ」

彼の握る力が強まり、一瞬、本気で私を傷つけるかもしれないと思った。だが、彼の表情が崩れ、あまりに突然手を離されたので、私はよろめいた。

「明日の夜は満月だ」彼は静かに言った。「月毒がなければ、あの獣が内側から引き裂く。それが望みか? 俺への当てつけのために死ぬのが」

そうかも。その考えは冷たく、正直だった。彼の喉を食い破れるほど強くなるか、あるいは、私自身の苦しみを終わらせられるほど強くなりたい。

彼はもう薬を無理強いしなかった。代わりに、私を深く見つめてから立ち去った。その眼差しには驚くほど痛みと庇護の色が混じっていて、私は完全に混乱させられた。

ふと、月影零が奥の部屋の少女について話していたことを思い出した。自分の目で確かめに行くべきかもしれない。

前哨基地の裏手にある部屋は、午後の光の中で墓場のように見えた。

神無月蒼真の銀の短剣を一本持ってきた。誰かを傷つけるためではない。金属に触れていると、記憶が鮮明に保たれるからだ。

注意深くあたりを見回したが、異常なものは何も見つからなかった。

「月影零は、星奏香織がここにいるって言ってたけど、間違いだったのかな」と私は自問した。

予定より長く外にいたので、戻ることにした。

神無月蒼真の声は、彼の姿を見るよりずっと前に中庭を越えて聞こえてきた。誰かと口論している――ウェル先生か、あるいは治療師の一人だろうか。

私が母屋に戻ったとき、彼は意識のない女性を抱えて正面玄関から入ってくるところだった。

星奏香織。

彼女は月影零の説明から想像したとおりの姿をしていた――同じ黒髪、同じ華奢な体格。だが、私が鋭い刃のようでかろうじて怒りを抑えているのに対し、彼女は脆く、壊れているように見えた。

「銀による中毒です」彼らが奥の部屋の一つに消えていくとき、ウェル先生の声が聞こえた。「傷が感染している。適切な治療をしなければ……」

その夜、神無月蒼真は眠らなかった。私は窓から、彼が星奏香織の部屋の前の廊下を行ったり来たりするのを見ていた。

彼は一度も私の様子を見に来なかった。

まるで、彼女が私なんかよりずっと大切な存在だと言わんばかりに。

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