第6章

天音舞視点

星奏香織が私の部屋の戸口に立っていた。片足は石の上で血を流しており、もう片方の毛皮のブーツはどこにも見当たらない。震える手には、銀の短剣が握られていた。

「天音舞」その声は疲労と怒りでかすれていた。「あなたを助けようと、わざわざ手を尽くしてあげたのに、これが感謝の仕方だっていうの?」

私は身を起こした。全身の筋肉がこわばる。助けてくれた?一体、何を言っているの?

「何のことか分からな――」

「しらばっくれるんじゃないわよ!」

星奏香織は短剣を握る手に力を込めた。彼女の手のひらには、すでに銀の火傷が浮かび上がっているのが見えた。

「覚えてないんでしょう?もちろ...

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