第11章

早乙女珠妃は手術台へ駆け寄ると、鋭い声を張り上げた。

「アドレナリン投与!」

 間髪入れずに手を差し出す。

「メス!」

 そのあまりの剣幕と突飛な行動に、周囲のスタッフは呆気に取られ、一斉に執刀医へと視線を注いだ。

 執刀医の顔色は青ざめていた。彼は気づいたのだ。目の前の少女が、先ほど入り口にいた人物であり、その背後には坂東院長が控えていることに。

 瞬時に後悔の念が押し寄せる。

「サポートして!」

 その一喝で空気が変わった。手術室には静寂が戻り、ただ金属製の器具が触れ合う冷ややかな音だけが響き渡る。

 手術は三時間に及び、ようやく終了した。

 幸いなことに、子供は死の...

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