第110章

早乙女珠妃が敵に回した人間の数と言えば、それはもう両手でも数え切れないほどだった。

「多すぎて、いちいち言えませんわ。それが何か?」

早乙女珠妃が尋ねると、天宮徳臣は首を横に振った。

「いや、何でもない」

そう言ったものの、彼はやはり気になったのか、重ねて問いかけた。

「最近、君の周りに妙な若い男が現れなかったか?」

若い男?

早乙女珠妃の脳裏に有賀豪の顔が浮かんだが、あの男はすでに天宮徳臣によって手懐けられている。当分の間、悪さをするようなことはないはずだ。

「いませんね」

その答えを聞いて、天宮徳臣の指先がピクリと動いた。

早乙女珠妃が藤原天輝のことをあえて隠したのか...

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