第116章

早乙女珠妃の姿を認めるや否や、院長は脱兎のごとく部屋から逃げ出そうとしたが、珠妃の方が一枚上手だった。彼女は素早く扉を塞ぎ、その退路を断つ。

「私の顔を見て逃げ出すなんて、どういう了見かしら?」

早乙女珠妃は遠慮のない視線を彼に浴びせ、言い放つ。

「また何かやましいことでもした?」

彼が口を開くより早く、珠妃は畳みかける。

「当ててあげましょうか。患者に薬を処方し間違えたか、それとも注射する場所でも間違えた?」

「め、滅相もない!」

院長はブンブンと手を振って否定した。

「お嬢様、人聞きの悪いことを仰らないでください。私の医術に対する侮辱ですぞ!」

「あんたに医術なんて高尚...

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