第160章

田村部長はそれを聞いて、愛想よく応じた。

「いいとも。佐川さんのためならいつでも時間を割くよ。だが、今はあいにく手が離せなくてね。清野さんのところへ顔を出さなければならないんだ」

佐川青子はそれを聞くと、しとやかで非の打ち所のない笑みを浮かべ、どうぞ、と手を差し出した。

「それでしたら、田村部長はお仕事を優先なさってください。私はまた後ほど伺いますわ」

軽く会釈をして、彼女は踵を返した。

佐川の背中が遠ざかるのを見届けてから、田村部長は清野雪音のオフィスのドアをノックした。

中に入ると、室内はすでに戦場のような忙しさだった。

大きな作業台を四、五人のスタッフが囲んでいる。卓...

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