第19章

清野雪音は無理に笑顔を貼り付け、しおらしく答えた。

「ええ、叔母様のおっしゃる通りです」

「父の事業が失敗した後、徳臣兄さんは清野家を救おうと申し出てくださいました。ですが、父はそのご好意を辞退し、私と母を連れて家財をすべて売り払い、下町へと移り住んだのです。あの日からずっと、私は徳臣兄さんに感謝しておりました」

嘘八百がすらすらと口をついて出る。

当事者がその場にいないのをいいことに、誰もその真偽を確かめようとはしない。

その身の上話を聞いて、天宮家の大奥様はさらに心を痛めた。

「徳臣という子は、昔から情に厚くて義理堅い。それにしても、お前の父親も頑固すぎるねえ」

大奥様はた...

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