第199章

手筈が整い、早乙女珠妃が踵を返そうとしたその時、清野雪音は負けじとばかりに立ちはだかった。

「あの、早乙女さん……」

声に振り返った珠妃の視線の先には、下唇を強く噛み締め、警戒心を剥き出しにした雪音の姿があった。

それを見た珠妃は、わずかに顎を引いて頷くと、雪音が口を開くより先に短く告げた。

「頑張って」

それだけを言い残し、珠妃は颯爽と立ち去った。

残された雪音は呆気に取られ、その場に立ち尽くすしかなかった。

は? あの女、どういうつもり? 頑張ってって、何を? あんたの励ましなんて必要ないんだけど!

雪音は怒りで頭から湯気が出そうだったが、珠妃はすでに長島補佐に恭しくエス...

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