第209章

コーエンの言葉を聞き、早乙女珠妃の胸に疑念が湧き上がった。かつて天宮グループで媚薬を盛られた、あの忌々しい事件を思い出す。

当時も清野雪音の仕業ではないかと疑っていたが、確たる証拠がなく追及できずにいたのだ。

そこまで考え、彼女は警戒心を露わにして問い詰めた。

「どういう意味? まさか清野雪音があなたに何か言ったの?」

コーエンは、自分が清野雪音に接触し、珠妃と「あの天宮の男」をくっつけようと画策していたことなど、口が裂けても言えなかった。

彼は言葉を濁し、曖昧に答えるしかなかった。

「いや、ただあの女はどうも善人には見えなくてな。とにかく俺の言うことを信じろ。あいつとは親しくす...

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