第229章

コーエンはそう口にしながら、さりげなく天宮徳臣へと視線を走らせた。どうにもこの件は、きな臭い気がしてならない。

宇野秀義は少し考え込んでから答えた。

「たしか会社の警備員だったかな。とにかく男だったよ。誰に用かと聞かれたから早乙女珠妃だと答えたら、現場にいるって言われたんだ」

「それで、のこのこ行ったのか?」

コーエンが畳みかける。

宇野秀義は間の抜けた顔で頷く。

「ああ。だか行ってみたら影も形もなかった」

早乙女珠妃は彼を一瞥して言った。

「昨日は一日中会社にいたわ。一歩も出ていないもの」

その言葉に、宇野秀義は汚い言葉を吐き散らして憤慨した。

一方のコーエンは、傍らで...

ログインして続きを読む