第233章

コーエンは軽く頷いた。

「感謝するよ、清野さん。善処しよう」

 自分がこれほど言葉を尽くしても、コーエンの表情は終始淡々としたままだ。これ以上長居しても意味がないと悟り、清野雪音は席を立って別れを告げるしかなかった。

 今回の帰国で、彼女は悟っていた。自分にはもうチャンスがないことを。今は帝都に戻り、改めて策を練るしかない。

 しかし、彼女には一つ解せないことがあった。ここ数日、土井千影に何度電話をかけても、相手は一向に出ようとしないのだ。

 土井千影の性格からして、このような無視はあり得ないはずだ。あちらで一体何が起きているのか、清野雪音には皆目見当がつかなかった。

 早く戻っ...

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