第235章

「承知いたしました」

 長島補佐は短く応じると、天宮徳臣の指示を夜通しで配下へと伝達していった。

 その時、執務室の扉がノックされた。川元一泉だ。

「入れ」

 ノックの音を聞き、天宮徳臣が声を上げる。

「坊ちゃん、早乙女様のための物件選びが完了しました」

 そう言って、川元一泉は恭しく数件の資料を差し出した。

「こちらの物件はいずれもセキュリティが万全で、敷地内の植栽も手入れが行き届いております。閑静な環境ですので、早乙女様が居住されるには最適かと」

 天宮徳臣は手元の資料をパラパラと捲り、少しの間吟味した後、『山水居』と記された資料を指先で叩いた。

「ここがいい。手続きを...

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