第26章

今週の金曜日はちょうど鶴田家の老夫人の誕生日だ。早乙女珠妃はこれを好機と捉え、鶴田家に探りを入れることにした。

だが、鶴田家とはこれまで縁がなかった。どのような名目で訪問すべきか。

珠妃はしばし思案に暮れた。

夕食の席でのことだ。

天宮大奥様が空席を一瞥し、尋ねた。

「雪音はどうしたんだい? まだ戻らないのかね」

土井千影はそっと天宮徳臣の顔色を窺い、答えた。

「存じませんわ。午後、少し出かけると言っていたのですが……この大雨でしょう、そろそろ戻ってもよい頃合いですが」

その言葉に、天宮徳臣の手がピクリと止まる。だがすぐに何事もなかったかのように食事を続けた。しかし、早乙女珠...

ログインして続きを読む