第287章

オフィスの中、清野雪音は梨花が雨を帯びたように、美しくも激しく泣き崩れていた。

「徳臣兄さん……早乙女さんが、行ってしまったの。デザイン部は私に任せるって言い残して、何も持たずにそのまま……」

「徳臣兄さん、お願い、早く彼女を追いかけて。顔色もすごく悪かったし、本当に何かあったらどうしようって……」

清野雪音のその言葉を聞き、天宮徳臣の心に走っていた焦燥は、逆に氷のように冷え固まった。

彼はゆっくりと車椅子を清野雪音の前に止め、喜怒哀楽の一切を感じさせない声で問いかける。

「一体どういうことだ。詳しく説明しろ」

清野雪音は涙を拭い、嗚咽を漏らしながら口を開いた。

「……早乙女楽...

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