第290章

「徳臣や、今夜はばあちゃんと一緒に食事に付き合っておくれ」

 天宮徳臣が顔を上げると、そこには期待に満ちた天宮大奥様の瞳があった。彼は一瞬躊躇ったが、ひとつ頷いて答えた。

「ああ、わかった」

「それじゃあ、行こうか」

 そう言って、天宮大奥様は天宮徳臣を連れ、予約していたレストランへと向かった。

 だが、二人が到着した時、向かいの席には見知らぬ母娘連れの姿があった。

 天宮大奥様は二人を手で示し、悪びれずに言った。

「徳臣や、こちらは結城さんとお母様だよ。二人きりの食事じゃ味気ないだろうと思ってね、ご一緒してもらったんだ。怒らないでおくれよ?」

 天宮徳臣は表情一つ変えず、給...

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