第46章

「あんた、か」

 早乙女珠妃は冷ややかな視線を投げかけ、手の中の鍵を弄ぶように放り上げた。その唇には嘲るような笑みが浮かんでいる。

「火恋を誘拐したのはあんた?」

「誘拐だなんて、人聞きが悪いな」

 有賀豪はニヤニヤと笑いながら背後に合図を送った。

 すると、巨大なクレーンのアームが動き出し、ぼやけた人影がゆっくりと吊り上げられ、断崖絶壁の上に宙吊りにされた。

 人影は必死に身をよじり、口汚く罵り続けている。

「有賀豪! 下ろしなさいよ! このクソ野郎、降りたらぶっ殺してやるから!」

「見ろよ、相変わらずのじゃじゃ馬だ」

 有賀豪は自分の頬を撫でながら言った。

「この前、...

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