第58章

早乙女珠妃はナプキンで口元を優雅に押さえ、こう言った。

「安心して、彼には興味ないわ」

天宮徳臣は一瞬躊躇ったが、それでも尋ねずにはいられなかった。

「なら、誰に興味があるんだ?」

「あなたよ」

早乙女珠妃はそう言うと、手にしたナプキンをテーブルに置き、艶然と微笑んだ。

「私はあなたにとても興味があるの。だから知りたいわ。どうして私の医術を疑ったの?」

「疑ってなどいない」

天宮徳臣は視線を外し、否定した。

「君に緒方取締役を診察させたのは、外野の口を塞ぐためだ」

「口を塞ぐ?」

早乙女珠妃は合点がいった。

「私の医術を疑う人間がいて、その人に見せつけるためにやった…...

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