第60章

「あの人の消息は?」

 執務室の静寂を破り、天宮徳臣が口を開いた。

 早乙女珠妃は、彼が先日話題にしていたあの女性のことを尋ねているのだとすぐに察した。

「今調べているところよ。そんなに急ぎなの?」

 徳臣は首を横に振った。

「いや、それほどでもない」

 もう三年も待ったのだ。あと数日待つことなど、どうということはない。

「ならいいわ。私の部下に全力を尽くさせる」

 その言葉を聞いて、徳臣は問いかけた。

「早乙女珠妃、君は裏で随分と手勢を囲っているようだな?」

 珠妃は口元を綻ばせた。

「知りたい?」

 徳臣は再び首を横に振る。

「君のプライベートだ。詮索はしな...

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