第87章

「何を騒いでいるんだ」

 言い争う声を聞きつけ、天宮大奥様が威儀を正して歩み寄ってきた。

 彼女は顔を上げ、その場にいる全員を見回すと、最後に早乙女珠妃へと視線を止めた。

「怪我はもういいのか」

「まだです」

「ならば大人しく上で休んでおればいいものを、何をうろついているんだ」

 天宮大奥様は叱責しつつ、目を赤く腫らした清野雪音に気づき、眉を寄せて不審げに尋ねた。

「どうしたというんだ」

「天宮おばあ様……」

 清野雪音は息も絶え絶えに泣きじゃくりながら、天宮大奥様の足元へすがりついた。

 そして、嗚咽交じりに訴える。

「義姉さんが、私を追い出そうとするんです」

 白...

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