第98章

但是在る藤原天輝の手前、彼女は口を開いた。

「お姉ちゃん、早く降りてきて!」

 壇上の早乙女楽己が興奮と歓喜で顔を歪ませているのを、早乙女珠妃は冷ややかに一瞥したが、何も答えなかった。

 早乙女珠妃の高慢な態度を見て、早乙女楽己はさらに興奮した。もっと騒げ、騒ぎが大きくなればなるほどいい。

 早乙女楽己の声を聞きつけた河内景丞が慌てて駆け寄り、壇上の早乙女珠妃を指差した。

「あ、あれは君の姉かね?」

 彼の言葉が落ちるや否や、無数の視線が早乙女楽己に注がれた。

 彼女は慌てて釈明した。

「河内副学長、どうか怒らないでください。姉はわざとじゃないんです。三年前から精神を患って長...

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