第7章

再会の場所に深森レストランを選んだ。別にこの店が気に入っていたわけじゃない。ただ、黒井唄なら芸能人のSNS投稿でここを知っていて、自分もここで見られたいと必死に願うだろうとわかっていたからだ。

もっと重要なのは、彼女がR市にいた頃の取り巻きが何人かここに来ていること。彼女がどれだけ落ちぶれたかを正確に記憶しているような、そういう手合いが。

私は早めに到着し、スポットライトが当たる、窓際の隅の席を取った。服装はカジュアルだが高価なもの。「頑張ってます」感はないのに、一目で裕福だとわかる。そんな、さりげない高級感を演出した。

あの顔を見るのは、五年ぶりか。

黒井唄は十分遅刻して...

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