第8章
ホテルを出る間もなく、黒井唄のSNSを更新しまくっていた。一時間で七件もの投稿。「最高の友達、卯月雫と久々に再会」だの、「優雅な女性たちに囲まれて幸せ」だの。
最高の友達、ね。あんたの偽フォロワーが、この裏側を知ったらどう思うかしらね。
彼女は私のベータ版製品をクリスマスプレゼントみたいに投稿し、開封動画ではすべてがどれだけ「限定品」かを甲高い声で自慢していた。
製造費3000円の製品を、5万で。
それから二週間かけて、私は本物の罠を仕掛けていった。
「限定フォトシュートのチャンス」――15万円。彼女がSNSのストーリーで慌てふためく様を眺めていた。明らかに価値のあるもの...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
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