第9章

「卯月雫ブランドローンチパーティー」の招待状が発送されたのは、その三週間後のことだった。会場は貸し切り、招待客は一流、そして参加費は50万円。

最後の罠だ。

黒井唄がどうにかしてやって来ることは分かっていた。私の世界を追いかけるために、すでに500万も投じているのだ。これまでの最大のイベントを彼女が見逃すはずがない。

案の定、パーティーの二日前、アシスタントから彼女の入金が確認できたと連絡があった。

また闇金に手を出したのね。今頃、ありとあらゆる所から借金しているのだろう。

会場は都内の烏満ホール――洗練されたモダンな造りで、私が計画していたことのためには音響も完璧だっ...

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