第4章

私は冷たく佐藤燃を見つめ、彼の怒りが爆発するのを待っていた。

何しろ、私はたった今、上野一樹の目の前で、彼のいかなる助けもきっぱりと拒絶したのだから。

意外なことに、佐藤燃は怒らなかった。

彼の瞳には水霧が浮かび、唇が微かに震えている。

その瞬間、彼はまるで七年前に私が下町のゴミ捨て場のそばで見つけた、あの小さな男の子のように見えた。

「姉さん、君を危険な目に遭わせたりしない」

彼はそう小声で言うと、俯いて和室を後にした。

上野一樹は去りゆく佐藤燃の後ろ姿を見つめ、口の端に皮肉な笑みを浮かべた。

「どうやら、佐藤家のお坊ちゃんとは仲がいいらしいな」

私は冷笑...

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