第102章 断れない切り札

桜井結衣は手早く、もう二つのデータモデルを呼び出した。

一つは、かつて黒崎祁の体内から採取した毒素サンプル。もう一つは、黒崎理人の体内で検出された微量残留。

画面には、三つの分子構造図が並列表示される。

黒崎祁の毒は、荒削りな初代の試作品。

黒崎理人の残留は、それを改良した二代。

そして目の前の――匿名オーダー由来の毒素は、紛れもなく三代目だった。

偶然で済むはずがない。

背後に組織がいる。

あるいは、トップクラスの生化学チームが、あの忌まわしい神経毒を継続的に開発し、更新し続けている。

黒崎兄弟は――その実験体の一つにすぎないのかもしれない。

桜井結衣は椅子の背にもたれ...

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