第115章 面白いゲーム

夜風が吹き抜け、バルコニーの空気はいよいよ冷え込んでいく。

黒崎祁の問いが、二人の間に宙づりのまま残った。

桜井結衣は答えなかった。

ただ目を上げ、静かに彼を見た。澄んだ瞳に、侮辱された羞恥も、追い詰められた狼狽もない。あるのは、解剖でもするかのような冷徹な査定だけ。

まるで、圧をかけてくる男を見ているのではなく――興味深い症例を観察しているみたいに。

「協力の定義は、目的次第よ」

ようやく口を開く。風に声が少し散るのに、抑揚は崩れない。

「目標が、会場の人たちに芝居を見せることなら……今のところ、私たち上出来」

彼が投げてきた私的な話題には乗らない。自分と“愛人”の関係が心...

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