第119章 焦りすぎる心

黒崎明信のこめかみに、冷たい汗がにじんだ。反論しようとしても、何を言っても桜井結衣の告発を裏づけるだけになる気がして、喉が詰まる。

丹念に用意したはずの“砲弾”は、撃った瞬間に不発弾――いや、暴発して自分の顔面を吹き飛ばした。灰まみれ、みっともない。

隅のほうで、黒崎安秀が桜井結衣を見つめている。目の中の崇拝がこぼれ落ちそうだった。

――義姉さん、永遠に神。

上座の黒崎亮二は、ずっと張りつめていた口元をようやく緩めた。手元の湯呑みを取り、ゆったり一口含む。

「よし」

湯呑みを置く音が、場のざわめきを切り落とす。

「データが偽物なら、危機など最初から存在しない」

黒崎明信へ視線...

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