第124章 黒崎グループの危機は冗談ではない

桜井結衣が会議室へ入ってきた。

さっきまで飛び交っていた怒号が、ぴたりと止む。十数本の視線が、一斉に彼女へ突き刺さった。

「なんであいつが?」と副社長の一人が小声で毒づく。「ここは取締役会だぞ。あいつのラボじゃない」

桜井結衣は視線など気にも留めず、上座の脇へ真っすぐ進むと、ノートPCをプロジェクターへ接続した。

「これより私が、今回のヴェランドによる対外的な商業攻撃への対応を、全権で指揮します」

一瞬、会議室が凍る。次の瞬間、火がついたように騒然となった。

「冗談だろ! 技術屋が市場も商売も分かるのか!」

「グループの危機だぞ、遊びじゃない!」

黒崎明信が、わざと驚いたよう...

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