第125章 内通者

黒崎安秀の顔から、いつもの太陽みたいな明るさが消えていた。代わりに張りついているのは、盗みでも働いたかのような落ち着かなさ。

「義姉さん」

声を潜める。その様子は、まるで密会する情報屋だ。

桜井結衣は顔も上げない。視線は相変わらずモニターに縫いつけたまま。

「言って」

黒崎安秀はするりと入り込み、背後手でドアを閉めると、念のため廊下の左右をちらりと確認した。人の気配がないのを確かめてから、足早に桜井結衣の横へ寄る。

ポケットからスマホを取り出し、写真を表示して差し出した。

薄暗いラウンジでの盗撮らしく、画質は甘い。だが横顔が二つ、はっきり分かる。

一人は黒崎明信。もう一人は、...

ログインして続きを読む