第135章 これはあなたのために用意したもの

巨大な恐怖が、桜井美桜の喉元を掴んだ。

彼女はベッドから跳ね起きると、手当たり次第に荷物をかき集めて鞄へ押し込み、その夜のうちに街を捨てて逃げ出した。追い詰められた野良犬みたいに、明日を見失った顔で。

桜井結衣の生活は、ラボと十七階の病室を往復するだけの軌道へ戻った。

ネットの騒ぎなど、彼女にとっては実験の途中で取り除くべきノイズにすぎない。

ノイズは消えた。なら、いま向き合うべき課題に集中できる。

「プロメテウス」の独立生体ラボ。

結城南は腕を突き出し、心底うんざりした顔のまま、桜井結衣に手首へ銀色の金属リングを装着されていた。

リングは驚くほど精巧だった。表面はつるりと滑ら...

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