第150章 ボールをまた蹴り返した

この女は吉田さん。桜井家で十年以上も仕えている。

「吉田さん……私、やっぱりあの子に負けてるのかな」

桜井美桜の目が赤く染まった。

「桜井家の娘は私でしょ。小さいころから何不自由なく育ってきたのに、あいつは何なの? 田舎から出てきた野良の娘のくせに。どうして黒崎理人に嫁げるのよ。黒崎家の若奥様の座まで、堂々と占領して……!」

「お嬢様、そんなことおっしゃらないでくださいませ」

吉田さんが慌てて宥める。

「あれが若奥様だなんて名ばかりですよ。旦那様は寝たきりで、ぴくりともなさらない。あれじゃ生きながらの未亡人同然じゃありませんか。むしろ――あの方が不吉なのです」

「不吉……?」

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