第152章 生活はもう十分苦いんだから、せめて自分で少し砂糖を足そう

結城南は盛大に白目をむき、腕を組んで椅子の背にもたれた。逃げる気なんて、さらさらない。

桜井結衣は何も言わない。ただ、向かいの空いた席へ手でそっと示した。

桜井智也は落ち着かない様子で腰を下ろし、両手を膝の上に揃えたまま、指先をこすり合わせる。

「結衣……俺が悪かった。前みたいに押しつけるべきじゃなかった。だけど……だけど桜井家が、もう本当に持たないんだ! 黒崎明信が……あいつが俺たちを、逃げ道のないところまで追い詰めてくる!」

声が震えていた。怖がっている演技じゃない。心底、怯えている。

桜井結衣は紅茶のカップを持ち上げ、浮いた泡をふっと息で払う。それでも口は開かない。

動じな...

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