第161章 せいぜい自重することだ

黒崎理人はリンゴをかじる手をふと止めた。桜井結衣の波ひとつ立たない横顔を見ていると、手の中のリンゴがやけに冷たく感じられる。

この女が言っているのは比喩なのか、それとも本気でそうするつもりなのか。時々、本当に判別がつかない。

「……まあいい。好きにすればいいさ。どうせ『プロメテウス』の著作権は君の手の中だ。いずれ裁判沙汰になったら、Kさんも喜んで法的サポートしてくれるだろ」

桜井結衣はすぐに機器の前へは戻らなかった。

タブレットを手に取り、動画をもう一度開き直す。最後までシークし、ハスが“宝物”の箱を抱えて車に乗り込み、去っていくところをじっと見届けた。

その口元が、ようやくわずか...

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