第162章 自分の裏庭をしっかり管理する

黒崎理人がシャンパンを二杯手にして近づいてきた。一本を桜井結衣に差し出し、自分は手すりにもたれたまま、顎で階下の揺らめく人影を示す。

「なあ、あいつらさ。普段は経済誌で世界を動かしてるつもりの連中だろ。今はぜーんぶ、お前の射程圏内だ」

桜井結衣は答えない。視線だけが会場をなぞる。

こういう社交の場に興味はない。ここへ来た理由はただ一つ、ある仮説を確かめるため。

オークションは滞りなく進行していた。

宝飾品、名画、骨董。次々と競り台に上がり、司会者の煽りに乗せられて、値は軽々と跳ね上がっていく。

黒崎理人は退屈そうにスマホをいじり、たまに顔を上げては、何千万という数字に「ふん」と鼻...

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