第167章 彼は反応した

「私は、あの子たちに一番合う環境を用意しただけ」

桜井結衣は顔も上げず、手元だけが忙しなく動く。

「それより、前に頼んだ『ヴィクトリアの溜息』の器械一式。材質と力学データの解析、結果は?」

「とっくに出てる」

結城南は書類の山から一枚の報告書を抜き出し、彼女に差し出した。

「結論。百年以上前の職人、全員イカれてる。あの柳葉刀の柄、成獣のマンモス象牙の芯の芯を使ってる。密度も靭性も、今どきの合成材より上だ」

「それに組織鉗子。閉じたときの圧力分布が、コンピュータ計算みたいに均一。もはや道具じゃない、芸術品だよ」

桜井結衣は報告書を受け取り、びっしり並ぶパラメータに目を走らせた。

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