第177章 すまないこの素晴らしい春景色

「動物実験第1チーム、モデル構築の進捗報告。5分後に私のメールへ!」

「PKデータ班、元データ全部、もう一回回して。万が一も潰す!」

「FDAとEMA向けの申請資料、法務から催促来てる。今日中にドラフト出して!」

結城南はラボの中を行き来しながら、よく通る声で、しかも無駄なく指示を飛ばした。タスクは次々に整理され、現場がきっちり回っていく。

その「嵐の中心」にいる桜井結衣は、自分の作業台に腰を落としたまま、目の前に浮かぶ巨大な仮想スクリーンを3枚、静かに睨んでいた。

宙をなぞる指先に合わせて、複雑な遺伝子配列、タンパク質の折りたたみモデル、膨大な臨床データが滝のように更新されていく...

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