第22章 南の壁にぶつかるまで引き返さない

桜井楓の目が、みるみるうちに輝きを増していく。まるで、桜井結衣が社会的に抹殺される光景を、もうこの場で見届けたかのように。

「これは小さな話じゃない。黒崎家みたいな一流の名家は、しきたりと体面を何より重んじる。横領が確定すれば、黒崎家があいつを叩き出すどころか――俺が直接、刑務所に送り込んでやれる!」

桜井美桜も目を光らせ、興奮した声で畳みかけた。

「そうだよ! 楓の言うとおり! 証拠さえ掴んで、お金の出どころが怪しいって突きつければ、黒崎家が黙ってるわけない! そしたら結衣は、泣きついて戻ってくるしかなくなるんだから!」

桐山嵐子の呼吸も次第に整っていく。瞳に燃えていた怒りは、冷た...

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