第38章 無駄な強がりはするな

「どうしたんだ?」

「火災警報?」

「違う、この音……B棟ラボからだ!」

皆が手を止め、いっせいに廊下へ身を乗り出す。

桜井結衣と結城南は視線を交わすなり、実験着を脱ぎ捨て、足早に飛び出した。

B棟ラボは隣の区画だ。高リスクの生物製剤の合成・分離を担当している。

入口へ駆けつけた瞬間、鼻を刺す焦げた匂いがぶわっと押し寄せた。

見ると、Bチームの面々が顔面蒼白で扉前に固まり、ラボの中を恐怖に見つめている。

分厚い防爆ガラス越しに見えたのは、ラボ中央の数百万円級の高圧遠心分離機。

それが――ぐらん、ぐらんと、狂ったように揺れていた。

機体の液晶表示は、数値がことごとく毒々しい...

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