第45章 勘違い男は本当にイタい

結城南は横で聞きながら、白目をむきたくなった。こいつ、どこからそんな自信が湧いてくるんだ。

瀬戸麗奈は、未知の菌株でも観察するみたいに吉田然を眺めている。瞳にあるのは、ただ純粋な学術的好奇心だけ。

桜井結衣は手元の作業を止めない。まぶたすら上げず、機器の低い駆動音の中で、その冷えた声だけがやけに冴えて響いた。

「髪、増えた?」

「ぷっ――」

結城南が堪えきれず吹き出した。

吉田然の、自分では端正だと思い込んでいる顔が、みるみる真っ赤になる。

「……礼儀知らずめ!」

最後は歯ぎしりするように吐き捨て、みっともなく踵を返すと、足早にラボを出ていった。

「ざまぁ!」結城南は背中に...

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