第54章 犬、鎖をしっかりつないでおけ

翌日、研究所。

桜井結衣の班に割り当てられたラボは廊下の突き当たり。場所は人目につきにくく、日当たりもそこそこ――だが、そのぶん静かだった。

もっとも、その静けさは朝いちばんに、耳障りな甲高い声で切り裂かれる。

「へえ。あんたたち、本気でここで“何か”作るつもりなんだ?」

華原悠が腕を組み、ラボのドア枠にもたれかかった。顎をやたらと持ち上げ、忙しく動く班員たちを、まるでスラムを見下ろすみたいに眺め回す。

「金子エンジニア。いい歳なんだから無理しないでくださいよ? その程度のプロジェクト賞金で、腰でもやったら目も当てられないし」

「それと森田佳奈。瓶とかちゃんと見といて。手が滑って...

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