第58章 大会開始

国際青年医学交流大会当日。

研究所が手配した送迎バスの車内には、数十人の若手研究員が乗り合わせていた。皆どこか言葉を失ったように、目を閉じて気力を温存する者もいれば、窓の外を流れていく街並みを無言で追う者もいる。車内に漂うのは、「競争」という名の低気圧だった。

結城南が肘で隣の桜井結衣をつつき、声を落として、わざと大げさな口の動きで言う。

「見てよ、みんな刑場に向かうみたいな顔。知らない人が見たら、学会発表じゃなくて爆弾解体に行くと思うって」

桜井結衣はタブレットに表示していた資料から視線を上げ、結城南の目線をなぞるように一周して、淡々と短く返した。

「……そうね」

「特に向かい...

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